育英会奨学金
大学生活は、日本育英会の特別奨学金を貰って過ごした。下宿代が朝晩2食ついて6000円の頃、月に7500円で、3年生になるころ、奨学金は11000円に増額された。あまりアルバイトもせずに済んだのはこのお陰だが、その時間分勉強したかと言うと、楽をして怠けていた。
「特別」の名が泣くばかりである。
返済の負担は少なくなった。
何しろ高度経済成長を遂げている時代、物価はどんどん上がり続けて、貨幣価値は下がり続けた。学生時代に借りた総額数十万円は、何分の一かになっていたが、公的な資金の建前で、インフレ分は加算されなかったから、そのインフレ分は貰ったようなものである。時代の痛苦もあったかわりに恩恵にもあずかったのである。
ただ、その当時でさえ、返済が少なく、育英会の通信には、決まって「確実な返済があって、後輩達に支給出来ます」とあって、返済率を掲示していた。成績も人格も優秀と看做された人々も、社会に出るとなかなか、いろんな事情ができてくるようだ。
私的な奨学金を始めるときに、まっさきに考えたのは、返済を迫ったり迫られたりして時間や経費をロスして、しかもお互いに不愉快な思いを残すのは止めようと言う点だった。お金は人間関係を作りもするが、破壊もする。概して言えば、破壊のほうが多い。そんなことなら、初めから貸借でない方が良いと思った。
このようにして、我がフェローシップは「贈与」型でスタートした。
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